利き脚によらない右キックと左キックの特徴
当たり前ですが、サッカーにおいて、キック動作は重要な技術の1つです。
左脚のインサイドキックが難しいと思ったことはありませんか。
右キックと左キックは、果たして対称なのか。
ということで、大学時代に実験・研究した内容を紹介します。
左右の脚で同じ速度のボールを蹴ることで、左右のキックを比較しました。
また、右利きと左利きの両方の選手を揃えることで、利き脚によらない特徴を見つけようとしました。
被験者は15名(右利き8名、左利き7名)
全てサッカー経験者です(サッカー歴は平均9年)
ボール速度51km/h〜57km/h(スピードガンで測定)
試行ごとにボール速度をフィードバックして、各5試行成功するまで実施
助走距離と助走角度は自由で、インサイドキックをしてもらいました。
どんな結果が出るのか。
想像の付かない実験でした。
色々と分析をして、次の2つのことが分かりました。
1つ目は骨盤の向きです。
インサイドキックなので、骨盤は外側を向いています。
右キックと左キックを比較すると、左キックの方がより外側を向いていました。
これは実感と一致します。
面白い点は、利き脚によらず、この傾向が出たことです。
左利きの人も、窮屈な蹴り方をしていたのですね。
2つ目は、足首(足関節)の角度です。
右キックの方が、より屈曲していました。
通常は90度ですが、インサイドキックをするときは、足首を固定する為に、力が入り、60〜70度くらいに曲がります。
その時、右キックの方が曲がっていたのです。
こちらも利き脚によらない違いでした。
右足首の方が緩いのかもしれません。
もう1つ、統計的有意差は出ませんでしたが、面白い傾向がありました。
キック足が地面から離れてからインパクトまでの時間です。
右キックの方が時間が短い結果となりました。
早く蹴らないといけない場面では、右キックの方が良いのかもしれません。
これも利き脚によらない違いです。
人の身体は左右対称ではないということです。
左を極めたい場合、右と同じような動作をするのではなく、左ならではの方法を探る必要があるのだと思います。
人の身体は奥が深いですね。